雪・時々晴れ
佐伯一族
「しょうたろう!」
突然の男の呼びかけにコピーの手を止め振り返って言った。
「なんで私のあだ名しってるの?」
彼は私に笑いかけ何か言いかけたが被せるようにキーの高い声で私は言った。
「あーっ解った!お兄ちゃんから聞いたんでしょ?」
彼は私の声の大きさと態度に焦った。
それはそうだろう…何せ今は仕事中でフロアには沢山の社員がいて静まりかえっていたのだから。
「あっ…」
周りを見渡した私は急に恥ずかしくなり
「もうっ!」
とだけ言い残してコピーを再開した。
彼がニコッと微笑んでフロアから出て行く姿を目で追いながら…
(あの人、メンテナンス部の…名前なんやったかな?)
思い出そうとしてみたが無駄だった。
私の名前は佐伯祥子。歳は22。
父や兄は私のことを『しょうたろう』と呼ぶ。
友達から見た私の印象は…
『天然』『ドンくさい』『変わってる』とどれも
パッとしないが…
自分で褒める所が有るとすれば
『前向き』で『おおらか』くらいだろうか。
社会人になって今年で4年目の秋を迎えていた。
仕事はデータ入力を中心とした一般事務である。
父親の転勤に伴ない大阪から新潟へやって来た。と言っても両親が新潟に移り住む一年後の話しであるが。
父が遅ればせながらマイホームの購入をし
仕事も落ち着いた頃に
-「うちの会社で社員の募集するから雇ってあげるからおいで」-
という言葉についつい甘えた結果である。
大阪には彼氏も友達も居たので一人暮らしをしていたが経済的に厳しく彼氏にもウンザリしていたので丁度良かった。
私が入社して半年後には兄夫婦も大阪から呼び寄せられ近所に引っ越して来た。
兄もまた同じように父の勤務する会社のメンテナンス部へ入社した。
そこで、さっきの男と出会い私の話をしたのだろう…
なんとも世襲じみた一族だ。
会社では佐伯一族と呼ばれるようになっていた。
突然の男の呼びかけにコピーの手を止め振り返って言った。
「なんで私のあだ名しってるの?」
彼は私に笑いかけ何か言いかけたが被せるようにキーの高い声で私は言った。
「あーっ解った!お兄ちゃんから聞いたんでしょ?」
彼は私の声の大きさと態度に焦った。
それはそうだろう…何せ今は仕事中でフロアには沢山の社員がいて静まりかえっていたのだから。
「あっ…」
周りを見渡した私は急に恥ずかしくなり
「もうっ!」
とだけ言い残してコピーを再開した。
彼がニコッと微笑んでフロアから出て行く姿を目で追いながら…
(あの人、メンテナンス部の…名前なんやったかな?)
思い出そうとしてみたが無駄だった。
私の名前は佐伯祥子。歳は22。
父や兄は私のことを『しょうたろう』と呼ぶ。
友達から見た私の印象は…
『天然』『ドンくさい』『変わってる』とどれも
パッとしないが…
自分で褒める所が有るとすれば
『前向き』で『おおらか』くらいだろうか。
社会人になって今年で4年目の秋を迎えていた。
仕事はデータ入力を中心とした一般事務である。
父親の転勤に伴ない大阪から新潟へやって来た。と言っても両親が新潟に移り住む一年後の話しであるが。
父が遅ればせながらマイホームの購入をし
仕事も落ち着いた頃に
-「うちの会社で社員の募集するから雇ってあげるからおいで」-
という言葉についつい甘えた結果である。
大阪には彼氏も友達も居たので一人暮らしをしていたが経済的に厳しく彼氏にもウンザリしていたので丁度良かった。
私が入社して半年後には兄夫婦も大阪から呼び寄せられ近所に引っ越して来た。
兄もまた同じように父の勤務する会社のメンテナンス部へ入社した。
そこで、さっきの男と出会い私の話をしたのだろう…
なんとも世襲じみた一族だ。
会社では佐伯一族と呼ばれるようになっていた。