雪・時々晴れ
もうお別れの時間が来た。


今度会う日を約束したが又2週間後の日曜日だった。


来週の日曜日はマユちゃんと会う日なんだろうと思ったが、あえて聞かないでさよならした。


これ以上悲しくなりたくなかったし、一応は「再来週なっ」て言われた時に寂しい顔は見せておいた。




会社では小田君とはほとんど顔を合わさなかった。


向こうが事業所側に来る時くらいで、しかもチラッとしか見れない常態だ。


マユちゃんも知らん顔していたし、私ももちろん知らん顔だった。


そんな微妙な三角関係をよそに、社内では皆でスキーに行こうって話しで盛り上がっていた。


皆と言っても渡辺さんたちの派閥ではなく、近藤さんや澤村さんや長谷部さんなどの私から見れは健全チームの話だった。その中には私をいじめていた剣道女も居たが。


「佐伯さん、今度の土曜日に皆でスキー行くんだけど行く?」


近藤さんが話しかけてきた。


「スキーですか…行こうかな…」


行こうと思った理由は二つあった。


小田君と並んで滑れるくらいスキーを上達させたいということ。


もう一つの理由は会社では殆ど一人で過ごしていた私を誘ってくれたことが嬉しかったから。


以前は会社の食堂でお昼休みの休憩も取っていたが、今では自宅に帰っていた。


何か様子が変なのは誰から見ても一目瞭然だったのだろう。


特に寂しくて嫌だとか、一人だから心細いとか、惨めなどとは思わなかった。


いや、思わない様に出来ていたのかもしれない。





スキーに行くメンバーはおのずと解っていた。


がしかし、当日坂井課長も参加するという事を知って驚いた。


どうやら転勤しても休日遊びに行く仲間はまだ出来ていない様子だった。


(うそやろ?………まいっか。そんなに話しかけても来ーへんやろうし…)


しかし、坂井課長はものすごく話しかけてきた。

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