雪・時々晴れ
2月ももう中頃に迫っていた。


(そういえばバレンタインデーとか有るやん…その二日後は私の誕生日やし)


小田君と会う約束をした日曜日は13日。その次の日がバレンタインデーだった。


(前日に渡してもいいよな…でもチョコとか食べなさそぅ…)


何を渡そうか悩んだ結果、タバコをワンカートン買うことにした。


彼はマルボロを吸っていた。


私が吸っていたのはフィリップモリスだったけど彼の真似をしてマルボロに切り替えたらきつ過ぎて目まいがした。


それでも一緒のタバコがよかったから無理して吸い続けた。









(今日で二人で会うの4回目か…)


「おぃ~っす」
片手を上げて小田君が言った。


「おいっす…」
こんな反応でいいのか迷いながら言ってみた。


小田君はいつも迎えに来てくれる。


そんな扱いにあまり馴れていなかった私はいつも申し訳なく思っていたが言葉にすると叱られるので黙っていた。


「何黙ってんの?」


「…おぃ~っすってドリフのいかりやの?」


「おー俺めっちゃくちゃ好きだったんさ」


「私も好きやったけど途中でひょうきん族に心を奪われたかな…」


「駄目じゃん。俺CDも持ってるよ」


「へぇ聞かせてよ」


「今は積んでない。渡辺さんとかめっちゃウケてたけど」


「何で渡辺さんが知ってるん!」


「あ~なんか飲み会の帰りに送ってく時にかけてたんかな?他の子も居たよ佐藤さんとか他も」


「ふ~ん。面白くなーい」


「フッよしよし」


頭を撫でられた。それでもふて腐れている私に彼はミッション車で忙しいのに車が止まるたびに頭を撫でてくる。


「もう解ったよ。君と私って一年くらい同じ会社に居ててろくに喋ってなかったもんな。そりゃ色々あるよね」
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