雪・時々晴れ
マユちゃんの気持ちを思うと心が切り裂かれる思いになった。


「複雑?」


「うん」


「けど、それ言わなきゃ終わらせる事も出来ないし、未練残したらよくないだろ?」


「そだね」


「俺、頑張ったんだぞ」


「うん」


彼はマユちゃんを嫌いになったのでは無く、ふいに現れた気になる奴のせいでケジメをつけなければならなくなった訳で…これからの人生をこの人と一緒に過ごすかもしれない私は責任重大な気がして来た。



「ありがとーーーやな」


「別に…まだ付き合うって決めた訳じゃないから」


「あっそ!もぉ好きにしー」


翻弄されながらもこの男が好きでしょーがなくなっていた。


「どこ行く?」


「何にも考えて来んかったけど…あ、今日も晴れやな」


「ふーん」


「…太陽が私等のこと祝福してるんやって!」


「…そーなの?」


「そーなの!」


新潟市に行ってみたいなーって言おうと思ったけどやめた。


遠いし、街なんてどこでも似たようなものだろうし。


「土地、詳しくないし…おまかせします」


「じゃあ、俺にまかせとけ!」


「うん。」


雪景色の中を走り抜ける彼の車に乗って居るだけで幸せだった。


太陽で雪がキラキラして綺麗だから窓の外ばかり見ていた。


彼はわざとらしく音楽に乗ってハンドルを叩いてリズムを取っていた。


私がどんな反応を示すのか見ているのだと思った。


元々クールな性質であるため、誰とでも一緒にはしゃぐことが苦手だった。


こんな時は大ピンチなのだ。


(関西人なのにノリ悪~とか思われたらどーしよー)


(きっとO型とはこんな些細な事でギクシャクなるんや)


ネガティブな事ばかりが頭をよぎる。
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