雪・時々晴れ
誕生日は仕事の終わりに彼の車の前で待ってることになっていたので誰かに会わないように時間は遅めに約束していた。


(寒い…小田君もぅ来るかな…)


人気の無い駐車場に一人ポツンと立っていた。周囲にはとっても怪しい人に見えたかもしれない。


といっても通りに面してないから誰にも会わずに居れた。


しばらくして仕事を終えた小田君がテクテク歩いて来るのが見えた。菅原君も一緒だったけど、私との関係を話しているのだとこの時悟った。


別に話しててもいいけど、すごく恥ずかしかった。


「じゃぁ」って菅原君が言ったから私は手だけ振った。


ヘッドライトで二人が照らされて余計に恥ずかしかった。車の重みで雪を踏む音が響いて菅原君が去った後シーンとした。


「菅原に先に帰れって言う方が変だからな…どうせ解ることだし」


「(どうせ解る…?)ついに付き合ってくれんの?」


「それは違うけど…」


「なんですかそりゃ。」


車に乗り込みしばらくすると会社からものすごく近いファミレスに着いた。


以前、彼等が会社の人に会うのを恐れてクリスマスのラーメンの日に避けたファミレスだ。


と思い込んでいるのはどうやら私だけのようだった。


「ここって会社の人に会うんじゃない?」


「会ったっていいじゃん」


「へー何か聞かれたら何て言うの?」


「あ、どーも。二人で飯食ってマースでいいじゃねーの?」


「どーゆー関係?とか…聞かへんか…」


「別に…一緒に飯食いたいやつと食えばいいんじゃねー?」


「そですね」


「それより、はよ決めー」


「あ、うん。私フットボールハンバーグにする」


「あ、それ旨いよな。でも俺は違うのにしよ~」


店員さんに注文をした後彼は言った。


「誕生日プレゼント飯でいいだろ?」


「………いいよ」
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