雪・時々晴れ
会える日は隔週から毎週日曜日に昇格していた。


もう彼女になれるというのに昇格という言い方も変だがそれほどハードルの高い相手だと感じていたのだ。


世の中に付き合う日が前もって解っているカップルなんて居るのだろうか…


居るかもしれない。


平日の午後は会いたいモヤモヤを抑える為にも没頭できる何かが必要だった。


何か手作りの…彼に肌身離さず持っていて貰える物を作ろうと思った。


そして、せっかく付き合う日が解っているのだから、その日にプレゼントできるようにビーズ細工のストラップを造ることにした。


その恋をしている気持ちは何者にも負けないパワーをもたらして私を元気過ぎる人に変えていた。






「おはようございまーす!!!」


「佐伯さん、元気いいね~!」


会社では皆、一匹狼の割りに明るく振舞う私を見て不思議そうな顔をしていた。


しかしマユちゃんが側にいる時はさすがにこのウキウキは抑えた。


私にも一応坂井さん以外の人で過去に大失恋の経験は有ったのでその辛さは解っているつもりだった。


でもマユちゃんの様に同じ会社に破局の原因の相手が居るとなると私には未知の世界で…どんなに辛いのか考えると想像もつかなっかた。


しかも当事者の私達は仲の良い同僚だったという追い討ちをかけるような条件
が揃っているのだから。


こんな経験はしたくはなかったけど恋する気持ちって人を悪魔にも出来るのだとこの時感じていた。


マユちゃんはカラ元気なのか明るくて渡辺さんと加藤さんといつもはしゃいでいた。


コスメ好きで、お洒落。新鮮なお魚を食べて育った漁師町の娘。明るくてよく笑う子。


よく考えればマユちゃんのことはそれ位しか解らない。


これからもっと仲良くなる途中だったのかもしれない…でも終わってしまった。


小田君が居てくれればそれだけで幸せだと思うようになっていた。


毎週会えるようになって嬉しかった。


毎週愛を交わしても離れたくない気持ちでいっぱいだった。


何度触れ合っても初めてのデートの時のドキドキのまま馴れることが無かった。


本当に小田君を好きなんだなと実感していた。














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