雪・時々晴れ
「おはようございまーす」


会社へ行くのは楽しかった。


剣道女には相変わらずイジメられていた。


「佐伯さん眉毛どこに行っちゃたの？」

とか

「有給、自由に使う人が居るから困るよね」

とか

「私も自由に休みたいなぁーーー」

とか

「なんなのあの標準語、関西人のくせに」

など


もうだいぶイジメられることに馴れてきていた。


そんなことより坂井さんに会えることが嬉しかった。


「渡辺さん、今度の日曜日なんですけど…」


「あぁ、水族館？」


「はい。ちょっと大阪から彼氏が来るかも知れなくて、キャンセルしてもいいですか？」


「あーそうなの…だったら延期すればいいんじゃないかな？」


「え…それで、皆さんの予定が合えば嬉しいですが…」


「大丈夫さぁ。ね、加藤ちゃん！」


「うんうん。大丈夫さぁ」


「坂井課長にも予定、聞いておくからさ。」



栄治とのケジメを付けるまでは遊ばないと決めたのに、流されている自分がいた。


こんな自分に甘い調子だから剣道女にイジメられることも解っていた。


渡辺さんにしても、データ入力室では皆のことを引っ張る立場の人だから、私の甘えた部分は簡単に見透かされていただろう。


なのに一応は優しくされていた。


私が佐伯部長の娘だからであると感じていた。


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