あまのじゃく
「だってー」
「だってー、じゃないのっ。痴話喧嘩してないで早く帰りなさい」
「ち、痴話喧嘩って」
顔が赤くなるのが分かる。
「アーカネちゃん、何照れてんのー?」
凌央があたしの首に抱きついて、笑いながらあたしの頬を突っつく。
「べ、別に照れてないもん」
…あぁ、噛んじゃった。
馬鹿にされる。
凌央が片手で顔を隠しながら笑いを堪えている。
…もちろん、奈都希も。
そんな二人にあたしは頬っぺたを膨らます。
「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃん!」
「ふふ、可愛いなあ茜は。凌央くんのこと大好きだもんねー?」
にやにやと奈都希が笑う。
「…っ」
さっきより顔が赤くなる。
…奈都希の意地悪。
凌央の前でそんなこと言わなくてもいいじゃん。