サクラ誘惑




そこにはにっこり笑った仮教師。


「聞いてくれてた?オレの話」


そのにっこり笑った笑顔が、逆に怖い。


「…私?」


「そうだよ。さくらのことだよ?」


その声にクラスのみんなが、呼び捨てだ!って騒ぎ始めた。


みんなには名字にさん付けのくせに。


「聞いてなかったでしょ」


「聞く必要ない」


私の言葉にクラス中が騒ぎ出す。


「だって自己紹介でしょ?それならこの前されたし」


「確かにそうだなぁ」


残念そうに言うが、表情は楽しそうな仮教師。



「じゃあ早速授業でも始めるか」


そう言ってやっと私から離れて、教卓まで戻る仮教師。


あーめんどくさい。




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