サクラ誘惑




補習が終わって、あたりは暗くなり始めていた。


いつもは昼間に帰れる補習が、今日は午後から始まったため、いつもより時間が遅い。


電車を待ちながら、空を見上げていると


「よおっ」


空がその声と共にニヤリと笑った顔になった。


「さ、さとる!?」


「そんなに驚くことはないだろ」


私は驚くと、はははと笑って私の隣に立ち直したさとる。


いや、驚くから!


「なんでここにいるのよ!」


「なんでって、オレだって家に帰るんだよ」


なにか文句あるか。


そう言ってまた顔を覗き込んできたさとるから、目線を外す。


近い。直視出来ない。




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