サクラ誘惑




な、何を言い出すんだ、コイツは。


「私がツンデレの訳ないから。変なこと言わないでよ」


「あ、今ツンの方だ」


隣でにっこり笑った和樹にムッとする。


調子狂うんですけど。


そんな私に面白そうに微笑んだ和樹は空を見上げた。


「デレは誰に見せんの?」


「……え?」



バーン!

バババババーン!


和樹の言葉が終わった直後に上がったたくさんの花火。


それは思わず、綺麗…と呟いてしまうほどだった。


そして、ふと思ったんだ。



来年はさとるとこれを見よう、って。



ただ目の前の大きくて綺麗な花を見ながら、私はふふっと微笑んだ。





< 98 / 100 >

この作品をシェア

pagetop