サクラ誘惑
な、何を言い出すんだ、コイツは。
「私がツンデレの訳ないから。変なこと言わないでよ」
「あ、今ツンの方だ」
隣でにっこり笑った和樹にムッとする。
調子狂うんですけど。
そんな私に面白そうに微笑んだ和樹は空を見上げた。
「デレは誰に見せんの?」
「……え?」
バーン!
バババババーン!
和樹の言葉が終わった直後に上がったたくさんの花火。
それは思わず、綺麗…と呟いてしまうほどだった。
そして、ふと思ったんだ。
来年はさとるとこれを見よう、って。
ただ目の前の大きくて綺麗な花を見ながら、私はふふっと微笑んだ。