しゃぼん玉
「どこ行く?」
「やっぱ清水寺っしょ!!」
「その喋り方…アキみてぇ」
「アキくん?」
どことなく辛そうな、悲しそうな、寂しそうな顔をしている智也に違和感を覚えた。
「アキといえば、たまにハルのことハルって呼ぶよな」
「やんな。あたしも思ってた」
気まずい空気が流れる。
「…あ!バス来てるよ!」
「やっべ!走んぞ!」
ごく自然に、あたしの手を握り走り出す智也。
向かい風が気持ちいい。
風に乗って、さっきの違和感も気まずい空気も流れて行った。