きみのうた
2章
ピ・・ピ・・ピ・・
無機質な音。
誰かのすすり泣く声。
誰かの話し声。
温かい手のぬくもり。
目が見えない・・・。
最悪だ・・・。
「璃乃ちん、大丈夫・・?声・・聴こえる・・?」
智子の声だ・・。
でも、声さえも出せない。
なんで・・?
どうしてなの・・・?
あたし・・どうしちゃったの・・・?
「どうだ?笹野の容体は」
倉井君・・・?
「全然ダメ・・。反応がない・・」
「そっか・・」
「あたしが一緒にベランダに出てれば・・」
「お前のせいじゃねえって。先生も事故だって言ってたろ?誰かのせいじゃないって」
倉井君と智美が話す声を静かに聞くしか出来ない。
あたしが声を出せれば・・・。
目が見れれば・・・。