きみのうた
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
「じゃあ、璃乃ちん。倉井に言っといてね♪」
「ちょっ・・」
智美の声がしたと思って顔を上げた。
が、智美はもう自分の席に座っていた。
智美とあたしは席が遠くて話せない。
「・・はぁ・・・」
つい溜息が出ちゃうよ、あの人は・・・。
「佐々野、やっと行ったか」
倉井君が戻って来た。
「倉井君・・ごめんね?智美が・・」
「あー?いーよ、別に。お前も大変だろ」
「え?」
倉井君があたしを見る。
「疲れない?あいつと居て」
「ううん、楽しいよ」
「そ」
倉井君は顎に手をついて目を閉じた。
あたしは倉井君の事が好きなんだ。
きっかけは智美のせいなんだけど・・・。