きみのうた


キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴った。

「じゃあ、璃乃ちん。倉井に言っといてね♪」

「ちょっ・・」

智美の声がしたと思って顔を上げた。

が、智美はもう自分の席に座っていた。

智美とあたしは席が遠くて話せない。

「・・はぁ・・・」

つい溜息が出ちゃうよ、あの人は・・・。

「佐々野、やっと行ったか」

倉井君が戻って来た。

「倉井君・・ごめんね?智美が・・」

「あー?いーよ、別に。お前も大変だろ」

「え?」

倉井君があたしを見る。

「疲れない?あいつと居て」

「ううん、楽しいよ」

「そ」

倉井君は顎に手をついて目を閉じた。

あたしは倉井君の事が好きなんだ。

きっかけは智美のせいなんだけど・・・。


< 3 / 60 >

この作品をシェア

pagetop