きみのうた
3章


「学校、夏休み前には来いよ?」

「うーん。行かないよ」

おでこを離す。

「俺らが支えるから。大丈夫だよ」

「・・でも、もう智哉の制服姿見れないし。智美の笑顔が見えない」

あの笑顔があたしのお薬みたいなものだったから。

「そりゃそうだけどさ、話せるだろ?」

「え?」

話せる?

「目は見えなくても、話せる。いつか絶対目が見えるって信じてよーぜ。そしたらきっと叶うって。叶わなくても、思わないよりは希望が持てる」

「そうだけど・・・」

目が見えなくて・・・智哉に嫌われたら嫌だし・・・。

「目が見えないからって俺は璃乃を嫌ったりしないよ。璃乃には変わらないだろ」

「・・うん!」

「よし。お前が心配する気持ちはよく分かるし、お前の気持ちは俺らに言われても分からないけど。けどお前の表情で全部分かるから」

「・・あたし・・分かりやすい・・?」

「あぁ。表情に出やすいって言うかさ。思ってることは全部顔で出てるし」

「・・・そっか・・・」

「璃乃~!やっほ!」

紗綾ちゃんが部屋に入って来た。

「あれ??ラブラブ中じゃん!?」


< 44 / 60 >

この作品をシェア

pagetop