きみのうた


「うぜえよ、お前も帰れ」

「うわっ、ひどくない?この人」

「しょうがないよ。智哉だもん。許してあげて」

「え~まじありえなーい。璃乃、また来るからね!」

「うん、待ってるよ」

紗綾ちゃんはあたしから離れた。

「痛っ!」

智哉の声。

「璃乃泣かせたら絶対許さないからね」

「へいへい。早く行けっての」

「璃乃!じゃあね!」

「あはは。うん、またね」

紗綾ちゃんはドアを静かに閉めて家を出て行った。

「あの女、凶暴な奴だな」

「なんでー?」

「あいつ、俺の足蹴ったんだぜ?思いっきり。超痛いっつうの」

「あ~紗綾ちゃん、中学の時に男子を病院に送ったって聞いたからね~」

「まじかよ。お前の友達、危険な奴しか居ないのかよ」

「多分ね~」

あたし、いじめられてたから守られるようになったし。

「あの女とはどうやって会ったの?」

「紗綾ちゃん?」

「おう」

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