きみのうた


鞄を取られて前かごに入れられる。

「早く乗れよ。俺まで遅刻しちまう」

「あ・・はい・・」

言われた通りに後ろに乗る。

「飛ばすからな」

「はい・・・」

初めて男の子と密着した。(コラ

「お前も寝坊?」

「あ、はい・・。昨日全然寝れなくて・・・」

緊張し過ぎました・・・。

「あははっ。ガキみてぇ」

「その・・君も・・?」

「俺の名前は倉井智哉。俺はオールしたつもりが見事に寝てた」

「あはは・・。倉井君も面白い・・」

「そうか?ほれ、着いた。お前は先に行けよ」

玄関の前に自転車を止めてくれる。

「でも・・・」

「俺は平気。先行ってろって」

あたしを降ろして鞄を渡される。

「ありがと・・」

「おう。またな」

ニコッと笑って自転車置きに向かって行った。

その瞬間にあたしは恋に落ちた。

そして同じクラスになれた時はとても喜んだ。

そんなこんなで今、隣の席になっていたのだ。

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