きみのうた
「璃乃ちん、倉井と何話してたの?」
あたし達が乗る駅で、智美が聞いてくる。
「何も話してないよ?」
「えー。怪しいっっっ」
智美の怪しむ目。
「ほら、智美はこの電車でしょ?」
智美が乗る電車が奇跡的に来た。
「ちぇっ・・。明日も聞くからねっ!」
「はいはい。また明日ね」
智美は渋々電車に乗った。
智美が来た電車から約5分後にあたしが乗る電車が来る。
でも今日は5分経ってもまだ来ない。
あれー?
まだ来ないの?
ホームから電車の来る方を覗く。
でもやっぱり電車が来る感じはしない。
最悪~・・・。
ホームにある椅子に座る。
ほかの若い仕事帰りの会社員の人も家族に電話してる。
あたしも家に電話しなきゃ・・・。
「あれ?笹野じゃん、何してんの?お前」
「え!?」
さっきバイバイしたはずの倉井君が駅のホームに居る。
なんで居るの!?
いつもは見ないはずなのに!
「どうしたの?」
「いやー・・。ちと用事あってさ・・」