黒き藥師と久遠の花【完】
 せめて近くまで一緒に行ければ、と思った瞬間、ふとレオニードの頭の中に閃くものがあった。

「実は俺も買いたい物があるんだ。だから途中まで一緒に行って、お互いの用事が終わったら待ち合わせないか?」

「それならいいけれど……珍しいね。いつも食材も日用品も、ゾーヤさんに買ってきてもらってるのに。何が欲しいの?」

「……悪いが、今はまだ言えない。品物が手に入ったら教える」

 みなもは首を傾げながら、不思議そうにこちらの顔を伺ってくる。
 しかし、すぐ表情を和らげて「楽しみにしてるよ」と笑ってくれた。
< 107 / 380 >

この作品をシェア

pagetop