黒き藥師と久遠の花【完】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「みなも、ほとんど食事に手をつけていないが……どこか具合が悪いのか?」
向い合って食事をしている最中、急にレオニードから尋ねられ、みなもは我に返る。
「大丈夫だよ。ちょっと今日は疲れて、頭がボーッとするんだ」
咄嗟に答えつつ目を弧にして笑ってから、目の前の食事を食べ進めていく。
いつも通りの食卓なのに、食べていて味が分からない。
それでも「このパン美味しいね」と言いながら、みなもは強引に料理を食べ切った。
様子が少しおかしいと思っているのだろう。レオニードが難しい顔をしてこちらを見つめてくる。
「君は無理をしやすいからな。明日は休んだほうがいい」
「問題ない……って言いたいところだけど、少し甘えさせてもらおうかな。俺が潰れたら、他の人に迷惑かけちゃうしね」
そう言うと、みなもは椅子を引いて立ち上がり、空になった皿を手に取った。
「これ片付けたら、今日はもう寝させてもらうよ。ここ最近、寝るのが遅かったし……」
意味ありげにレオニードへ視線を流し、悪戯な笑みを浮かべる。
こういう冗談には免疫がない彼らしく、ほんのり顔を赤くしながら咳払いした。
「悪かった。これからはもう少し自分を抑える」
「たまに休ませてもらえれば、今まで通りで構わないよ。好きな人が近くにいたら、触れたくなるのは俺も同じだから」
話しながら台所の洗い場へ食器を置くと、みなもは椅子に座っていたレオニードに近づき、唇を重ねるだけの軽い口づけをした。
わずかに顔を離して彼を見ると、穏やかな目でこちらを見つめていた。
そしてみなもの頬を、そっと大きな手で触れる。
「……今、君に渡したい物があるんだ。少し後ろを向いて欲しい」
何だろうと不思議に思いながら、みなもは言われた通りに後ろを向く。
「みなも、ほとんど食事に手をつけていないが……どこか具合が悪いのか?」
向い合って食事をしている最中、急にレオニードから尋ねられ、みなもは我に返る。
「大丈夫だよ。ちょっと今日は疲れて、頭がボーッとするんだ」
咄嗟に答えつつ目を弧にして笑ってから、目の前の食事を食べ進めていく。
いつも通りの食卓なのに、食べていて味が分からない。
それでも「このパン美味しいね」と言いながら、みなもは強引に料理を食べ切った。
様子が少しおかしいと思っているのだろう。レオニードが難しい顔をしてこちらを見つめてくる。
「君は無理をしやすいからな。明日は休んだほうがいい」
「問題ない……って言いたいところだけど、少し甘えさせてもらおうかな。俺が潰れたら、他の人に迷惑かけちゃうしね」
そう言うと、みなもは椅子を引いて立ち上がり、空になった皿を手に取った。
「これ片付けたら、今日はもう寝させてもらうよ。ここ最近、寝るのが遅かったし……」
意味ありげにレオニードへ視線を流し、悪戯な笑みを浮かべる。
こういう冗談には免疫がない彼らしく、ほんのり顔を赤くしながら咳払いした。
「悪かった。これからはもう少し自分を抑える」
「たまに休ませてもらえれば、今まで通りで構わないよ。好きな人が近くにいたら、触れたくなるのは俺も同じだから」
話しながら台所の洗い場へ食器を置くと、みなもは椅子に座っていたレオニードに近づき、唇を重ねるだけの軽い口づけをした。
わずかに顔を離して彼を見ると、穏やかな目でこちらを見つめていた。
そしてみなもの頬を、そっと大きな手で触れる。
「……今、君に渡したい物があるんだ。少し後ろを向いて欲しい」
何だろうと不思議に思いながら、みなもは言われた通りに後ろを向く。