黒き藥師と久遠の花【完】
 年下の人間にここまで言われて、さぞ面白くないだろう。レオニードは苦々しく唇を噛み、眉間に皺を寄せる。

 しばらくして、レオニードは観念したように長い息を吐いた。

「……すまない。このまま治療を頼んでもいいだろうか?」

「賢明な判断だね。俺もずっと寝床を占領されるのは困るから、本気を出してレオニードを治療するよ」

 ぽむ。
 他意もなく、みなもはレオニードの肩を叩いた。左肩だった。

 唐突な痛みに彼は声を詰まらせ、ベッドに沈む。
 別にわざとではないが、痛がる彼を見るのは気分がいい。
 みなもは吹き出して笑い、「あ、ごめん」と軽く流した。
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