黒き藥師と久遠の花【完】
 疎らに「分かりました」と返事をして、部下たちが移動を始める。
 彼らの動きを確かめてから、ナウムはみなもに視線を戻す。

 と、彼女はわずかに俯き、己の腹部を押さえていた。

「かなり容赦なく突かれたな。みなも、大丈夫か?」

「はい……ただ、まだ痛みが続いています」

 自分のものが傷つけられるのは面白くない。
 ナウムは小さく舌打ちすると、みなもの腹部を優しく撫でた。

「今日は自分の部屋でゆっくり休め。……その分、明日の晩はたっぷり可愛がってやるからな」

「ありがとうございます、ナウム様」

 みなもの顎を持ち上げ、薄く開いた唇にナウムは口付ける。その後に「行け」と目配せして促した。

 ゆっくりと彼女が後ろに下がって離れると、硬い動きで踵を返して背中を向ける。
 去っていく姿を目で追いながら、ナウムは優越感に浸って微笑を浮かべた。
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