黒き藥師と久遠の花【完】
毒を操り、一族を守り続けてきた『守り葉』。
悪用される訳にはいかないと、外部の人間だけでなく、一族同士でさえも監視していたのだろう。
つまり、みなもと共に生きるということは、自分たちも互いを見張らなければいけないということ。
どちらかが敵の手に落ち、その力を悪用されることになれば、命を賭けてそれを阻止しなくてはいけない。
最悪、相手の命を奪うことになったとしても。
そう思った瞬間にレオニードの胸が痛み、目を細めた。
(彼女は子供の時から、一人で『守り葉』の使命と向き合って生きてきたのか)
不意に、見たこともない幼いみなもの姿が脳裏に浮かぶ。
仲間を失った心細さで小さな肩を震わせ、目に涙をため、それでも歯を食いしばって、懸命に前へ進み続ける……そんな姿が。
(俺が同じものを背負ったとしても、みなもの苦しみは減らないんだろうな)
むしろ自分と一緒になれば、己を律するだけでなく、こちらを監視するという負担が増える。
共に生きることが、より彼女を苦しめることになるかもしれない。
(……それでも俺は、みなもと共に生きたい)
自分が抱えていくものだけでなく、少しでも彼女の重荷も背負いたい。
みなもが肩の力を抜いて生きられるようになるならば、どんな苦労も惜しまない。
これからは、心から笑って生きて欲しい――そう願わずにはいられなかった。
悪用される訳にはいかないと、外部の人間だけでなく、一族同士でさえも監視していたのだろう。
つまり、みなもと共に生きるということは、自分たちも互いを見張らなければいけないということ。
どちらかが敵の手に落ち、その力を悪用されることになれば、命を賭けてそれを阻止しなくてはいけない。
最悪、相手の命を奪うことになったとしても。
そう思った瞬間にレオニードの胸が痛み、目を細めた。
(彼女は子供の時から、一人で『守り葉』の使命と向き合って生きてきたのか)
不意に、見たこともない幼いみなもの姿が脳裏に浮かぶ。
仲間を失った心細さで小さな肩を震わせ、目に涙をため、それでも歯を食いしばって、懸命に前へ進み続ける……そんな姿が。
(俺が同じものを背負ったとしても、みなもの苦しみは減らないんだろうな)
むしろ自分と一緒になれば、己を律するだけでなく、こちらを監視するという負担が増える。
共に生きることが、より彼女を苦しめることになるかもしれない。
(……それでも俺は、みなもと共に生きたい)
自分が抱えていくものだけでなく、少しでも彼女の重荷も背負いたい。
みなもが肩の力を抜いて生きられるようになるならば、どんな苦労も惜しまない。
これからは、心から笑って生きて欲しい――そう願わずにはいられなかった。