黒き藥師と久遠の花【完】
 温室の植物がすべて枯れていくのを見届けた後、レオニードは踵を返して外へ出て行く。

 ここまでは予定通り。あとはみなもと浪司に合流して目的を果たし、この地を離れてしまえば決着がつく。
 今みなもは姉の元へ向かおうとしているハズ。誰かから王妃の居場所を聞き出せば、彼女と落ち合うことができるだろう。

 庭園から城に向かって走りながら、話ができそうな人間はいないだろうかと辺りを見渡す。と、

「貴様、何者だ!」

 前方から数人の男たちが現れて、レオニードの前に立ちはだかる。
 昨日、ナウムの屋敷へ潜入した時に見かけた顔だった。

(ナウムの部下か……まだここまで動ける人間がいたとは)

 無言でレオニードは剣を抜くと、切っ先を正面に向ける。

 彼らを睨みつけて牽制していると――。
 ――横へ回り込んだ一人が斬りかかってきた。
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