こんなに好きなのにっ!!
昔から方向オンチではあったし、人混みで迷子になられると小さくて見つけだすのは大変だ。



「番号覚えてねぇ?」

「080…しかわかんない…」

「なにやってんだよまったく…。一緒に探してやるから」

「悠ちゃん優しい…」

「ほら、俺ともはぐれんぞ」

「ん…」



手を繋いだのは何年ぶりだろう。



相変わらず小さくて、そして変わらぬ暖かさ。



不安そうに俯き加減で歩くユナの頭を撫でた。



「見つけてやるから。な?」

「うん…」



はぐれた場所を探してみても倉市の姿はなくて。



入場ゲートで少し待っても知り合いすら通らない。



迷子センターに連れてってしまおうか…。



『倉市発見したら電話くれ』



みんなに送ったメールも返事はなかった。



「もういいよ…」

「よくねぇだろ。ユナひとりにできねぇよ」

「悠ちゃん達の出番が終わった後は友達と待ち合わせしてるから」

「それまでひとりでいる気かよ」



どうすりゃいいんだ…。



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