こんなに好きなのにっ!!
出番が終わればすることもなくなる。



後は祭りを楽しむだけで。



まず、琴里の元へ足を運んだ。



「超カッコよかったよ!!惚れ直したっ!!」

「マジで?あっという間に終わっちまった~」



駆け寄ってきた琴里とは正反対に、ユナの顔は沈んでいた。



倉市とはぐれたことがそんなにショックか?



昔から甘ったれで泣き虫で。



ひとりじゃ何もできねぇとこ、変わってねぇじゃねぇか。



「ユナ、どこで合流すんだよ」

「噴水の前…」

「場所分かるか?」

「た、たぶん!!あたし行くから後で電話する!!」

「また迷子になんだろ。どうせマッピー連れて同じ場所行くんだから一緒に行ってやる」

「ありがとう、悠ちゃん…」



不意に握られた手。



少しヒヤッとして手の甲に爪が食い込んでいた。



琴里の手…。



力が…強い…。



「琴里も一緒に行くだろ?」

「うん」

「迷惑かけてごめんな?」

「気にしてないよ。行こう、ユナちゃん」



マッピーに噴水前に来いと電話をしてから歩き出した。



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