こんなに好きなのにっ!!
琴里がわざとらしく繋いだ手を離したい俺がいる。



ユナに見られたくない姿。



琴里の友達は帰り、3人で歩く人混み。



「あたし、今日帰りたくないよ」

「予定ねぇの…?」

「うん、悠都に会うからって断ったもん」

「そっか…。打ち上げ、付き合えんなら来る?」

「行く!!」



苦しい。



息をすることを忘れてしまったかのように…。



這い出たはずの淀んだ沼に引きずり込まれているのかもしれない…。



ユナは一言も発さず、そのまま隣を歩いていた。



「ユナっ!!」

「リオく…」

「よかったぁ~…。マジごめんな!?探したのに見つかんなくて…先輩が見つけてくれたんスか!?」



噴水前にはユナタイプの女と倉市がいた。



琴里が握る手の力が弱まっている…。



「ユナちゃんの彼氏?」

「そ、後輩」

「そっか!!そっか~!!」



今ので確信した。



琴里はユナに妬いていたこと。



「噂の彼女さんスよね!?」

「初めまして、悠都がいつもお世話になってます」



やめろ、やめてくれ。



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