こんなに好きなのにっ!!
今のはダメな癖だ。



昔からすぐ悠ちゃんに頼りすぎてる。



「倉市んとこ泊まんの?」

「うん…」

「浮かない顔」

「だって…」

「そんな顔すんなよ。さらうぞ、マジで」

「えっ…?」



頬に触れられた手にドキッと心臓が跳ねた。



悠ちゃんが…あたしに触れてる…。



「意地悪言っていい?」

「意地…悪…?」

「お前のファーストキス、倉市じゃなくて俺だから」



なに…それ…。



記憶にないよ…?



大好きだった悠ちゃんの手があたしの唇をなぞって離れた…。



「って、ガキの頃の話だけど~。戻っか」



思い出した…。



あたしが小学校に入ったばっかりの時だ…。



『男の子なんて嫌い!!みんな嫌い!!絶対悠ちゃんと結婚するもん!!』

『もう泣くなよ。俺は小さいユナ、カワイイと思う』

『悠ちゃんだけでいい…。男の子なんて大嫌い!!』



身長をからかわれて泣いていたあたしをなだめてくれた時だ…。



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