こんなに好きなのにっ!!
無理にユナと手をつないで先を歩いた。



俺がいちばん年上だし!!



俺がうまいことしてやんなきゃ…。



「ユナ、昔遠足で水族館行ったの覚えてる?」

「うん!!悠ちゃんがウツボ怖がって泣いたの」

「余計なことは思い出さなくていいから…」

「悠ちゃんが年長で、風君が年少の時がいちばん楽しかったね」



ユナの無邪気な笑顔を見てると後ろのふたりのことなんか忘れそう。



やっべ、ふたりの世界に入っちまいそうだ。



「リオって魚好きなの?」

「普通。ガキの頃は好きだったかな」

「あたしは好き」

「得意だもんな、水泳」



あら?



後ろのふたりもいい感じじゃないか。



いつからの付き合いなのかとか、そんなのは聞いてない。



だけど倉市の顔は優しい。



お前がユナを好きだった頃にしてた顔だ。



「あのふたり、心配ねぇよ」

「なんで?」

「倉市はたぶん、美和ちゃんが好きだな」

「でも美和ちゃんはそう思ってないもん…」



いやいや、倉市の気持ちを尊重すべき。



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