こんなに好きなのにっ!!
なかったことにする
【悠都】



自分がよくわからない。



俺はなにがしたかったんだろう…。



「行ってくるから留守番よろしく!!」

「はいはい…」

「おみやげ買ってくるから~」



朝からハイテンションの母ちゃんと、顔には出さないけどさっきから早く行きたい雰囲気を醸し出してる親父。



やっと行ったか…。



昼メシまで作ってった母ちゃんに感謝…。



風都はまだ寝ていて、俺はリビングで4日前に聞いた風都の言葉を思い出していた。



『ユナがケガしたみたいだぞ』



悪気があってそれを伝えたわけじゃなく、日常会話で出てきた風都の言葉。



もちろん、風都は俺とユナになにがあったかなんて知りもしないわけで。



それを聞いた俺が最初に思ったのは…。



『ユナんとこ行かなきゃ』



それだった。



きっと無意識、そして我に返った時…。



行っちゃいけないという現実が憎たらしく感じた。



俺がユナを突き放したのに。



昔からの習慣とは怖いものだと思い知った。



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