こんなに好きなのにっ!!
あたしを好いてくれてるリオ君に、無神経に悠ちゃんのことなんて言えない。



なぜか苦しくて涙が溢れた。



それでもチラつくのは悠ちゃんと彼女さんの仲良さそうな姿。



悠ちゃんの隣で笑っていたあの人に、嫉妬みたいな感情が湧き出る。



「長谷川?泣いてんの?」

「わかんないっ…。どうしたらいいの?」

「理由がわかんねぇから…なんとも言えねぇよ?」

「ごめんっ…」

「…………明日どっか行く?ヒマなら。せっかく連休だし」



その誘いは甘すぎる誘惑だった。



リオ君なら全部包み込んで忘れさせてくれる気がしたから…。



「行く…」

「じゃあどこがいいか考えといて。出来るかぎり頑張る!!」

「ふふっ…」

「なんだよ、笑ってんじゃねぇよ。必死だっての」



あたしはリオ君と恋がしたいよ。



優しくて全部包んでくれて…。



リオ君を好きになれたら…夢中になって悠ちゃんなんて入る隙間がなくなるはずだもん。



あたしを溺れさせて…。



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