こんなに好きなのにっ!!
ギターを背中に、向かったのはバンドの練習に使ってる部室。



名ばかりの写真部は誰も来ないから。



顧問すら誰なのか不明なくらい。



「どうする?一応出る?」

「最近ライブとか遠ざかってるからな~」



気晴らし。



プロを目指すわけじゃない俺たちの趣味。



ただの趣味だ。



声がかかれば適当にステージにあがる感じ。



なにかに没頭してた方がユナの姿を忘れられる…。



夏休みに開催される学生バンドフェスに出るか出ないかという議論。



「出る」

「珍しく悠都がやる気?」

「来年はどうなるかわかんねぇじゃん?解散する前に思い出作り」

「それもそうだな」



なにかに夢中にならなきゃいけない気がする。



今までは琴里で満足していたけど…。



ユナのあの姿を見たら琴里じゃ埋められないことに気がついた。



「やるか!!」

「選曲するか~」



とにかく全部忘れたい。



このまま荒んで行きたくない…。



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