こんなに好きなのにっ!!
一緒にいれば埋まる溝。



学校へ着いたらそれはまた深まる…。



「じゃ、俺こっちだから」

「うん、ムリしないでね?」

「ヘーキ~」



学年が違うから向かう場所も別。



黒くて深い穴が開く感じ…。



ユナは今日もあいつに笑顔を向けるんだ。



俺の知らない顔をして、どんどん知らない女になる…。



今の俺には手を繋ぐことも、頭を撫でることもできない。



悔しくて情けない…。



こんなにユナで頭がいっぱいなのに…。



なにやってんだ俺…。



「おはよ、悠都」

「ん…」

「元気なくない?」

「寝不足」

「彼女といたりして~!!」



女友達との会話。



俺の体調の悪さには気付かない…。



「悠都、今日も練習する?」

「パス。琴里と約束してんだ」

「マジで?じゃあ俺も女んとこ行こうかな~」



バンドは適当に。



まだ時間はあるから気楽に行かなきゃ…。



あぁ…眠い…。



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