こんなに好きなのにっ!!
その日から、俺はユナを見ないと決めた。



視覚的にじゃなく、頭の中で見ない。



思い出すこともやめるし、俺が好きなのは琴里だ。



「俺もバイトしよっかなぁ~」

「なんのために?」

「琴里とのデート代」

「あたしは悠都といられればどこにも行かなくていいよ?」

「ん~、カワイイこと言ってくれんね」

「あたしね、悠都がいなくなったら生きていけないかも」



琴里のため、琴里の笑顔のため。



喜ばせてやりたい。



琴里はいい女だ。



俺の愛する彼女。



「夏のバンドフェス、見に来る?」

「絶対行く!!でも悠都ファン増えたらどうしよ…」

「そんなにモテねぇって」

「悠都は見た目カッコイイもん!!最近いつ告られた?」

「1週間前…」

「ほら!!」



ちゃんと断ったってば。



彼女がいるって。



「琴里?」

「なぁにぃ~…」

「お前のためなら何でもしてやるよ?」

「あぅっ!!KO…」



これでいいんだ。



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