夏の空を仰ぐ花
それをわざわざ聞くかね、このお涼め。


ちょっとは察してもらいたい。


あたしはチッと舌打ちをして、思いっきり振り向いた。


「好き! 死ぬほど好きじゃ! けど、やっちまったことはどうしようもないじゃん!」


本当はあんなことするつもりなかったのに。


もうやけくそだった。


「「えっ」」


目を大きく見開いて、相澤先輩と若奈ちゃんが立ち尽くしている。


あたしを怪訝な目つきで見つめながら、涼子さんは言った。


「それなら、あんなことしなきゃ良かったじゃない」


そんなこと、わざわざ言われなくたって分かってる。


「いちいちうるさい! あたし、死ぬほど忙しいの!」


おかげで、補欠に嫌われたかもしれない。


あたしが背中を向けてきびすを返した瞬間に、涼子さんは言った。


「私、夏井くんに告白したから」


「……え」


立ち止まり、あたしは振り向いた。


「さっきね、メールで気持ちを伝えたの」


涼子さんは両手でパールホワイト色の携帯電話を握りしめていた。


「告白、した」


その一言は、あたしの恋心をザックリ切り裂き、ビリビリに破った。


膝がガクガク笑う。


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