夏の空を仰ぐ花
窓から見える空はあまりにも青く透明で、後悔して泣いている自分が情けなくてたまらなくなる。


自分でまいた種じゃないか。


「補欠のことが好きで……好きすぎて……こんなに好きなのにっ」


誰にも渡したくないくせに。


へんなプライドだけは一人前で。


そういう見栄だけは立派で。


結局は、逃げているだけのくせに。


補欠に振られるのがたまらなく怖いだけのくせに。


口だけはいっちょまえで、本当のあたしは臆病なただのヘタレだ。


なにが、恋は先手必勝だ。


なにが、命がけだ。


なにが……運命だ。


そんな屁理屈ばかり言ったって、結局、あたしは臆病でつまらん女じゃないか。


目の奥で補欠の優しい笑顔だけがぐるぐる回って、離れない。


あたし、他の事なんか考えることもできなくなるくらい、補欠のことが、こんなに好きだったのか。


自分が想像していたより遥かに大きい気持ちの重さに気付いたきっかけが、涼子さんの一言だったなんて。


皮肉なものだ。


―告白、した


告白すらできないヘタレが、何を後悔しているのか。


もう、右も左も、前も後ろ、上も下も。



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