夏の空を仰ぐ花
は? 、と補欠が無表情のまま小首を傾げた。
ちょっとまだ、信じられないのだ。
どうも、信じられない。
「ところで、あたしは補欠の何なのだ?」
確認しないと、まだ信じられない。
「ほんとか? ほんとに、あたしのこと好きなのか?」
「言ったろ。好きだって」
一筆書こうか、と補欠は困った顔になって肩をすくめた。
「そっかあ! あたしも好き!」
勢い良く後ろに飛び乗って、あたしは補欠の腰に両手をまわしてぎゅうっとしがみついた。
補欠がククッと笑いを漏らす。
「そんなしがみつかなくても大丈夫だって。乱暴な運転しないから」
「うっせえなあ! いいじゃん。彼女の特権だろ!」
「はいはい」
男の人なんだ……としみじみと実感した。
ごつごつした腰骨。
ドキドキして、心臓が破裂するんじゃないかと心配になる。
小柄だと思っていたのに、頬をくっつけてみるとその背中は広くて大きくて。
いっそ、補欠の体の一部になってしまえたら、と思った。
野球部なんだな、そう思った。
無駄な肉は一切なくて、筋肉質で引き締まった体。
学ランの上からでもはっきり分かった。
「じゃあ、行くか」
補欠が自転車を加速させる。
ちょっとまだ、信じられないのだ。
どうも、信じられない。
「ところで、あたしは補欠の何なのだ?」
確認しないと、まだ信じられない。
「ほんとか? ほんとに、あたしのこと好きなのか?」
「言ったろ。好きだって」
一筆書こうか、と補欠は困った顔になって肩をすくめた。
「そっかあ! あたしも好き!」
勢い良く後ろに飛び乗って、あたしは補欠の腰に両手をまわしてぎゅうっとしがみついた。
補欠がククッと笑いを漏らす。
「そんなしがみつかなくても大丈夫だって。乱暴な運転しないから」
「うっせえなあ! いいじゃん。彼女の特権だろ!」
「はいはい」
男の人なんだ……としみじみと実感した。
ごつごつした腰骨。
ドキドキして、心臓が破裂するんじゃないかと心配になる。
小柄だと思っていたのに、頬をくっつけてみるとその背中は広くて大きくて。
いっそ、補欠の体の一部になってしまえたら、と思った。
野球部なんだな、そう思った。
無駄な肉は一切なくて、筋肉質で引き締まった体。
学ランの上からでもはっきり分かった。
「じゃあ、行くか」
補欠が自転車を加速させる。