夏の空を仰ぐ花
予兆
年が明けて、2007。
1月1日、元旦。
たぶん、全ての始まりは年明け早々のアレだったんじゃないかと思う。
アレが予兆で、それが初期症状だったんじゃないかって。
朝起きると、とにかく視界が悪かった。
あたしは寝起きが良いとこが自慢で。
まして、視力がいいところがさらに自慢だった。
パッと目を覚ますと目の前がぼんやり霞んでいた。
「なんじゃこりゃ。目くそか?」
ごしごし目をこすったり、バチバチまばたきを繰り返してみた。
まるで、濃霧の森をうろうろさまよい歩いているような、不思議な感覚に陥った。
しばらくすると濃霧が晴れて、いつものスッキリした調子に戻った。
しかし、体を起こすと、
「……いっ……てえー」
その鈍痛にたまらず頭を抱えた。
ガイーン、と激痛が走る。
時刻を確認すると、8時になろうとしていた。
ガイーン、ガイーン。
頭の中で誰かが一斗缶を木刀で殴っている。
「まいったな」
今日は10時に、補欠と初詣に行く約束してんのに。
あたしは極力頭に響かないようにソロソロとベッドを抜け出し、のろのろフラフラとリビングへ下りた。
テレビでは毎年恒例のお笑い番組が放送されていて、リビングにはお雑煮の優しい香りが漂っていた。
対面式キッチンに立っている母の背中に、あたしは声をかけた。
1月1日、元旦。
たぶん、全ての始まりは年明け早々のアレだったんじゃないかと思う。
アレが予兆で、それが初期症状だったんじゃないかって。
朝起きると、とにかく視界が悪かった。
あたしは寝起きが良いとこが自慢で。
まして、視力がいいところがさらに自慢だった。
パッと目を覚ますと目の前がぼんやり霞んでいた。
「なんじゃこりゃ。目くそか?」
ごしごし目をこすったり、バチバチまばたきを繰り返してみた。
まるで、濃霧の森をうろうろさまよい歩いているような、不思議な感覚に陥った。
しばらくすると濃霧が晴れて、いつものスッキリした調子に戻った。
しかし、体を起こすと、
「……いっ……てえー」
その鈍痛にたまらず頭を抱えた。
ガイーン、と激痛が走る。
時刻を確認すると、8時になろうとしていた。
ガイーン、ガイーン。
頭の中で誰かが一斗缶を木刀で殴っている。
「まいったな」
今日は10時に、補欠と初詣に行く約束してんのに。
あたしは極力頭に響かないようにソロソロとベッドを抜け出し、のろのろフラフラとリビングへ下りた。
テレビでは毎年恒例のお笑い番組が放送されていて、リビングにはお雑煮の優しい香りが漂っていた。
対面式キッチンに立っている母の背中に、あたしは声をかけた。