夏の空を仰ぐ花
「この子は蒼太くん。で、こっちが茜ちゃん」
と補欠が茜を指差す。
そして、最後にあたしを指差して、くすぐったそうに言った。
「こっちは翠。おれの」
おれの、その一言を聞いた瞬間に、
「……大変!」
とようこは家の中に向かって叫んだ。
「お父さん! お父さん! 大変! 響也が彼女連れて来たー!」
ようこは初対面の時からチャキチャキしていてテキパキしていて、少し、おっちょこちょいだった。
顔は本当に補欠とうりふたつなのに。
物静かな補欠とは正反対で。
「何、響也の彼女? 響也にそんな子いたのか」
バタバタと飛び出して来たたかしは、ダンディーなイケメンだった。
「ほおお……可愛いなあ」
たかしはあたしを見て、にっこり笑った。
「響也の父のたかしです。こっちは妻のようこ」
ああ、と妙に納得した。
補欠はきっと、たかしから物静かなとこをもらって生まれて来たんだな。
「あけおめー! ニューイヤー! たかし! ようこ!」
「「えっ」」
突然、呼び捨てにされたふたりはギョッとしてのけぞりながら、固まった。
「あたし、翠! 吉田翠」
そんなあたしたちのやりとりを見て、補欠は可笑しそうに笑っていた。
「あっ、この頭、金色だけど。あたしヤンキーじゃないから安心してちょんだい!」
息子の彼女がヤンキーじゃ、ちょっとな、と思われたりしたらマイナスだ。
呼び捨てにしときながら、そんなことを考えてあたしは真面目に言ったのに。
ふたりはブハッと吹き出して、ひっくり返りそうになりながら大笑いした。
と補欠が茜を指差す。
そして、最後にあたしを指差して、くすぐったそうに言った。
「こっちは翠。おれの」
おれの、その一言を聞いた瞬間に、
「……大変!」
とようこは家の中に向かって叫んだ。
「お父さん! お父さん! 大変! 響也が彼女連れて来たー!」
ようこは初対面の時からチャキチャキしていてテキパキしていて、少し、おっちょこちょいだった。
顔は本当に補欠とうりふたつなのに。
物静かな補欠とは正反対で。
「何、響也の彼女? 響也にそんな子いたのか」
バタバタと飛び出して来たたかしは、ダンディーなイケメンだった。
「ほおお……可愛いなあ」
たかしはあたしを見て、にっこり笑った。
「響也の父のたかしです。こっちは妻のようこ」
ああ、と妙に納得した。
補欠はきっと、たかしから物静かなとこをもらって生まれて来たんだな。
「あけおめー! ニューイヤー! たかし! ようこ!」
「「えっ」」
突然、呼び捨てにされたふたりはギョッとしてのけぞりながら、固まった。
「あたし、翠! 吉田翠」
そんなあたしたちのやりとりを見て、補欠は可笑しそうに笑っていた。
「あっ、この頭、金色だけど。あたしヤンキーじゃないから安心してちょんだい!」
息子の彼女がヤンキーじゃ、ちょっとな、と思われたりしたらマイナスだ。
呼び捨てにしときながら、そんなことを考えてあたしは真面目に言ったのに。
ふたりはブハッと吹き出して、ひっくり返りそうになりながら大笑いした。