夏の空を仰ぐ花
母の涙
その翌日、あたしは熱を出してしまった。
「だりー……」
どうやら、冗談抜きに風邪を引いてしまったらしい。
「あーあ。こりゃ、学校行けんな」
計測したばかりの体温計を見つめて、母がため息をこぼした。
「えー! 行く! 困る!」
補欠に会えないのは困る。
ベッドから飛び起きようとしたあたしを、母が両手で抑え込んだ。
「倒れられでもしたら、こちらとて困るわい」
ほれ、と母が見せてきた体温計を見て、抵抗をやめるほかなかった。
こりゃ、まいった。
38度2分。
「インフルエンザだったら大変だな」
母が表情をゆがませた。
この時、風邪を引いていなかったら、熱が出ていなかったら、あたしはギリギリまで気付きもしなかったのだろう。
そう思うと、怖い。
この発熱が今後の人生を左右するひとつのキッカケになろうとは、あたしは気付いてもいなかった。
「今日は病院行きだな。会社と学校に連絡入れて来るから。大人しく寝てろ」
と母は部屋を出て行った。
ちくしょう。
昨日のアレが原因だな。
仕方ない。
あたしは補欠と結衣と明里に、メールで学校を休むことを報告した。
茜と蒼太を送り出したあと、あたしと母は病院へ向かった。
内科は風邪引きの患者でゴミゴミしていた。
「だりー……」
どうやら、冗談抜きに風邪を引いてしまったらしい。
「あーあ。こりゃ、学校行けんな」
計測したばかりの体温計を見つめて、母がため息をこぼした。
「えー! 行く! 困る!」
補欠に会えないのは困る。
ベッドから飛び起きようとしたあたしを、母が両手で抑え込んだ。
「倒れられでもしたら、こちらとて困るわい」
ほれ、と母が見せてきた体温計を見て、抵抗をやめるほかなかった。
こりゃ、まいった。
38度2分。
「インフルエンザだったら大変だな」
母が表情をゆがませた。
この時、風邪を引いていなかったら、熱が出ていなかったら、あたしはギリギリまで気付きもしなかったのだろう。
そう思うと、怖い。
この発熱が今後の人生を左右するひとつのキッカケになろうとは、あたしは気付いてもいなかった。
「今日は病院行きだな。会社と学校に連絡入れて来るから。大人しく寝てろ」
と母は部屋を出て行った。
ちくしょう。
昨日のアレが原因だな。
仕方ない。
あたしは補欠と結衣と明里に、メールで学校を休むことを報告した。
茜と蒼太を送り出したあと、あたしと母は病院へ向かった。
内科は風邪引きの患者でゴミゴミしていた。