夏の空を仰ぐ花
ぼんやりしながら、毎日減る一方の鎮痛剤の箱を思い出していた。
薬中みたいだな、なんて思いながら。
「ちょっといいかな」
「へい?」
前田先生が手を伸ばしてきて、あたしの下まぶたを更に下へ引っ張る。
「僕の指を追い掛けてみてくれる?」
「……? うん」
右へ左へ移動する人差し指を目で追い掛ける。
ふうん、と煮え切らない態度で、前田先生が母に告げた。
「頭痛ですか。うん……じゃあ、ちょっと、検査してみましょうか」
「お願いします」
「検査あ?」
あたしはとっさに顔を上げて、笑い飛ばした。
「いいって! 検査なんか大袈裟だし、めんどくせえよ。なんともないし」
前田先生がフフと笑って、あたしの肩を叩いた。
「一応だよ、一応」
「一応?」
「そう。毎日、市販の頭痛薬飲んでいたら、お金もばかにならないだろ」
ね、と前田先生はあたしの額をトンとと指で押して、
「CT」
デスクに向かったまま、看護師さんに指示を出した。
「一応、脳外の長谷部先生に連絡入れて。見てもらいたいから」
「はい、分かりました」
看護師さんが指示されたように、テキパキと動き出す。
薬中みたいだな、なんて思いながら。
「ちょっといいかな」
「へい?」
前田先生が手を伸ばしてきて、あたしの下まぶたを更に下へ引っ張る。
「僕の指を追い掛けてみてくれる?」
「……? うん」
右へ左へ移動する人差し指を目で追い掛ける。
ふうん、と煮え切らない態度で、前田先生が母に告げた。
「頭痛ですか。うん……じゃあ、ちょっと、検査してみましょうか」
「お願いします」
「検査あ?」
あたしはとっさに顔を上げて、笑い飛ばした。
「いいって! 検査なんか大袈裟だし、めんどくせえよ。なんともないし」
前田先生がフフと笑って、あたしの肩を叩いた。
「一応だよ、一応」
「一応?」
「そう。毎日、市販の頭痛薬飲んでいたら、お金もばかにならないだろ」
ね、と前田先生はあたしの額をトンとと指で押して、
「CT」
デスクに向かったまま、看護師さんに指示を出した。
「一応、脳外の長谷部先生に連絡入れて。見てもらいたいから」
「はい、分かりました」
看護師さんが指示されたように、テキパキと動き出す。