夏の空を仰ぐ花
「やってくれたなーっ!」
母の怒鳴り声の直後、えーん、と甲高い泣き声が家中に響いた。
蒼太は泣き虫王子だ。
なんとも、なんとも。
母ひとり、子3匹。
吉田家の朝はとにもかくにも、騒がしい。
あたしはそーっとリビングを覗いた。
「えーい。ただでさえ、朝は忙しいというのに」
蒼太が割ったと思われるマグカップの破片を、母がてきぱきと集めていた。
「母の仕事増やしやがって。おチビめ」
と床を水浸しにしているミルクを布巾でササッと拭きながら、母はぼやく。
「おチビめ、おチビめ」
「えーん、えーん」
その横で、おんおん泣く弟。
「そうちゃん」
しっかり者の茜は保育園の制服をビシッと着こなして、泣いている蒼太をあやしていた。
「よしよし。なかないのよ。あかねのミルクのんでもいいからね」
そこに、あたしは突入した。
「モーニン! エブリワン!」
突然登場したあたしを見て、おチビふたりは目を点にした。
「どうだ! 似合うだろ」
くるりと一回転してポーズを決めると、蒼太はピタリと泣き止み、茜はキャアと黄色い声を上げて床をダンダン踏んだ。
「みどりねえちゃん、かわいいわあ! おひめさまみたいですわよ」
母の怒鳴り声の直後、えーん、と甲高い泣き声が家中に響いた。
蒼太は泣き虫王子だ。
なんとも、なんとも。
母ひとり、子3匹。
吉田家の朝はとにもかくにも、騒がしい。
あたしはそーっとリビングを覗いた。
「えーい。ただでさえ、朝は忙しいというのに」
蒼太が割ったと思われるマグカップの破片を、母がてきぱきと集めていた。
「母の仕事増やしやがって。おチビめ」
と床を水浸しにしているミルクを布巾でササッと拭きながら、母はぼやく。
「おチビめ、おチビめ」
「えーん、えーん」
その横で、おんおん泣く弟。
「そうちゃん」
しっかり者の茜は保育園の制服をビシッと着こなして、泣いている蒼太をあやしていた。
「よしよし。なかないのよ。あかねのミルクのんでもいいからね」
そこに、あたしは突入した。
「モーニン! エブリワン!」
突然登場したあたしを見て、おチビふたりは目を点にした。
「どうだ! 似合うだろ」
くるりと一回転してポーズを決めると、蒼太はピタリと泣き止み、茜はキャアと黄色い声を上げて床をダンダン踏んだ。
「みどりねえちゃん、かわいいわあ! おひめさまみたいですわよ」