夏の空を仰ぐ花
「悪いね。助かった」
「なんのこれしき」
あたしはともかく。
女手ひとつで、まだ幼い子供をふたりも育てる母を、あたしは心底尊敬する。
ピンポーン、とチャイムが鳴った。
迎えのバスが来たらしい。
玄関へ向かうと、
「まずはひだりあし……はい。つぎはみぎあしよ……はい」
よくできました、と蒼太に靴を履かせる茜はやっぱりしっかり者だ。
いい姉ちゃんぶりを発揮していた。
「茜、ありがとね。偉いぞー」
おかっぱ頭をぐりぐり撫でてやると、茜は嬉しそうにほっぺたを薄紅色に染めた。
「さあ、行ってこい」
玄関のドアを開けると、
「おはようございます」
とお迎え担当の先生が立っていた。
若くて、可愛らしいひとだった。
「おはようございます。茜と蒼太のこと、お願いします」
挨拶を交わすあたしたちの隙間をするりと抜けて、蒼太が飛び出した。
「わっ! 蒼太くん、危ないですよ!」
慌てて、先生が追いかけていく。
ああいう、蒼太の落ち着きのなさはたぶん、このあたしに似たに違いない。
「ん?」
ぽんぽんと腰を叩かれて見下ろすと、
「みどりねえちゃん、あのね、あのね」
茜が微笑んでいた。
「なんのこれしき」
あたしはともかく。
女手ひとつで、まだ幼い子供をふたりも育てる母を、あたしは心底尊敬する。
ピンポーン、とチャイムが鳴った。
迎えのバスが来たらしい。
玄関へ向かうと、
「まずはひだりあし……はい。つぎはみぎあしよ……はい」
よくできました、と蒼太に靴を履かせる茜はやっぱりしっかり者だ。
いい姉ちゃんぶりを発揮していた。
「茜、ありがとね。偉いぞー」
おかっぱ頭をぐりぐり撫でてやると、茜は嬉しそうにほっぺたを薄紅色に染めた。
「さあ、行ってこい」
玄関のドアを開けると、
「おはようございます」
とお迎え担当の先生が立っていた。
若くて、可愛らしいひとだった。
「おはようございます。茜と蒼太のこと、お願いします」
挨拶を交わすあたしたちの隙間をするりと抜けて、蒼太が飛び出した。
「わっ! 蒼太くん、危ないですよ!」
慌てて、先生が追いかけていく。
ああいう、蒼太の落ち着きのなさはたぶん、このあたしに似たに違いない。
「ん?」
ぽんぽんと腰を叩かれて見下ろすと、
「みどりねえちゃん、あのね、あのね」
茜が微笑んでいた。