夏の空を仰ぐ花
「あかね、おおきくなったら、みどりねえちゃんになるのよ」


「へ?」


「みどりねえちゃん、おひめさまみたいなんですもの!」


うふふ、と茜は黄色い帽子を深く被った。


茜は父親似だ。


その優しい瞳をくるくる輝かせた。


「あかね、みどりねえちゃん、だいすきですのよ」


そう言って、茜は玄関を飛び出して行った。


「ぶはーっ」


あたしは吹き出して笑った。


嬉しかったから。


照れ隠しに、笑った。


「おかっぱ頭が何を言うかね。ませてんなあ」


なんて笑い飛ばしながらも、あたしはハッピー全開で。


保育園のバスを見送り、あたしは部屋まで一気に駆け上がった。


今日こそ、いや。


今こそ、タイムカプセルを開く時に違いない。


そう思ったからだ。


あたしはドレッサーの引き出しから、それを取り出した。


たった半年という短い歳月だったけど。


でも、これは、あたしにとって正真正銘のタイムカプセルなのだ。


上品なオフホワイト色の、正方形の小箱。


少し緊張しながら上蓋を開けると、パコと少し間抜けな音がした。


「えー……超キレー」


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