夏の空を仰ぐ花

新学期

えーっ!



その落胆に満ちた悲鳴は、五重に重なって廊下に響いた。


4月。


新学期を迎えて、あたしたちは二年生になった。


その矢先、あたしはどん底に突き落とされた。


「何だよ! こんなの詐欺だ!」


掲示板を睨み付けて、結衣がキンキン声を荒げる。


クラス発表の紙を張り出された掲示板の前で、左から健吾、補欠、あたし、結衣、明里の順番で横一列に並んでいた。


クラス発表を前に、クラクラ目眩がした。


二年生早々に落ちてきた試練が、雷と化してあたしにを直撃した。


なんで二年になってもバカ健吾と同じクラスなんだよ! 、と結衣と明里が怒鳴り散らす。


そのセリフそのままそっくり返してやらあ! 、と健吾が反撃に出る。


補欠とあたしは呆然と掲示板と睨めっこ。


「ちくしょー! 響也と離れちまった。まじでつまんねえ」


ぐはあ、とみぞおちをど突かれたような声を出して、健吾がしゃがみこんだ。


これは……一体、何の冗談か。


あたしを始め、結衣と明里、健吾は二年E組に固まったのに。


補欠だけがA組に飛んだ。


「こんなの裏工作に決まってらい! ぶっ飛ばすぞ!」


燃やせばただの紙じゃないか。


こんな物、証拠隠滅。


ズタズタに切り裂いてやろうと思い、掲示板に飛び付こうとしたあたしを、


「おっと」


と片腕で制したのは補欠だった。


「しょうがねえよ。仕方ないだろ」


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