夏の空を仰ぐ花
隣に彼氏の岸野くんがいて、あたしと補欠を見てやれやれと笑った。


「夏井。朝からこんなとこで見せ付けてんなよ」


「違う! 翠がダダこねてるだけだ!」


そんなんじゃねえよ、と補欠が顔を真っ赤にして訴える。


「ほほっ、ハレンチ!」


続いて現れたのはまたしても野球部、イガグリだった。


「あっ!」


掲示板を見つめて、花菜ちんがにっこり微笑む。


「あたし、響也とイガと同じ。A組だ!」


「え、まじ? 花菜もA?」


抱き付くあたしをズリズリ引きずって、補欠が掲示板を見つめた。


「おお、まじだ。イガもだな。よろしくな」


「やりい! 響也と花菜も一緒なら楽しくなりそうだ」


なんだなんだ、あたしはかやの外かね。


「健は? 何組?」


花菜ちんが聞くと、岸野くんは残念そうに笑って、


「おれはC組。また離れちゃったな」


と花菜ちんのおでこを、人差し指でツンと突いた。


「残念。今年こそは健と一緒のクラスになれると思ってたのになあ……」


いいな。


いいな、いいな、花菜ちん。


おでこツン、とか。


あたしも補欠にやって欲しいぞ。


うらめしげな視線をふたりに送っていると、


「とりあえず、離れてくれる?」


補欠が背中を丸めた。



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