夏の空を仰ぐ花
まだ掲示物も無くて、殺風景な教室。


新しい顔ぶれ、新しい担任。


二年生になると、三階から一階に教室が移動になった。


席も出席番号順で、窓際から二列廊下寄りの、一番後ろの席。


何もかも、全てが不満で不服だった。


「一年間、よろしくお願いします」


担任もかなり年配で、七三分けのいかにも生真面目そうな男。


きさくで友達みたいなにべちゃんとはえらい違いだ。


とりあえず、秩序に従え、そんなつまらないことを口にするような担任に、ため息100連発。


「やっとれんわ」


ため息と一緒に呟いて頬杖をつきながら、あたしは窓の方に視線を流した。


窓際の、席。


先月まで、あの席とあの席で、あたしと補欠はいつもじゃれ合っていたのに。


今は全然違う子が座って、担任のつまらない話に耳を傾けている。


その奥に広がる空が、やけに遠くに見えた。


三階に居た時はすごく近くに感じた、空。


今はもう、遠くなってしまった。


補欠みたいに。


席は離れたとしても、せめて、同じクラスになりたかった。


あー、とでっかいため息を落とした時、右隣の男子がプッと笑いを漏らした。


ムッとして見ると、彼は椅子にもたれながらあたしを見てクスクス笑った。


なんだ、この男。


失礼なやつだ。



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