夏の空を仰ぐ花
シルバーリングが連なっている華奢でシンプルなデザインのピアス。


まばたきをせずにはいられないほど、眩しい。


中2の時、自分で買った安物とは輝きも高級感も、天と地だ。


それを左耳にだけつけて、鏡を覗く。


「お……おおお!」


少し動くだけで、華奢なリングたちがこぞって音色を奏でた。


シャラ、シャラ、シャラ。


三重奏。


このピアスは、父がくれた最後のプレゼントだ。


箱の底には、メッセージカードが入っていた。











――――――――――――――
翠へ


15歳の誕生日 おめでとう

自分を信じて
自分が決めた道を
真っ直ぐ生きて下さい

父は何があっても娘を信じる

翠らしく生きて下さい



――――――――――――――




「あたしらしく、真っ直ぐ、ね」


左手でそっとピアスに触れた。


シャラ。


「I believe my way」


得意の英語で呟いた。


シャラ。


ピアスが揺れる。


父。


あたし、高校生になったよ。


この先、何があるのか分かんないけどさ。


あたし、自分の道を信じる。


だから、そこから見ててよ。


父。


ふたりの母校で宇宙一の青春てやつを、謳歌してやろうじゃないの。




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