夏の空を仰ぐ花
15時50分。
昼間は、アブラ蝉がジイジイ鳴く。
夕方になると、選手交代。
ひぐらしがカンカン鳴く。
16時になると、ここに補欠がやって来る。
夏休み、野球部はとにかく練習一色で、会える時間は夕方くらいだった。
だから、ほとんど毎日、この時間に待ち合わせて補欠と会っていた。
いつもなら、この一分が一時間に感じてしまうほど、長く待ち遠しくてたまらないのに。
早く会いたくて、イライラするほどなのに。
今日はそんな気分になれなかった。
さすがに、きつかった。
かなり強烈な衝撃だった。
いずれは手術が必要になるだろうとは思っていたし、覚悟はしていたけど。
まさか、こんな時期にそれが訪れるとは予測できなかった。
頭上の枝葉の隙間から、八月の西日が燦然と降り注ぐ。
もうじき夕方だってのに、肌を焦がすような陽射しを受け止めながら、あたしはベンチにもたれかかった。
「手術……かあ」
と、なると、入院が必要になるわけで。
その休んでいる期間の理由、言い訳をどうしようか。
アメリカに短期語学留学にでも行くか。
「……ありえんだろう」
考えても考えても、浮かんでくるのは「イカニモ」な、明らかに突っ込みどころ満載なものばかりだった。
さすがにもう、そろそろ限界なのかと思う。
もう、隠し通せないところまで来てしまったのだと思った。
いつまでも肩肘張っていられないのかもしれない。
昼間は、アブラ蝉がジイジイ鳴く。
夕方になると、選手交代。
ひぐらしがカンカン鳴く。
16時になると、ここに補欠がやって来る。
夏休み、野球部はとにかく練習一色で、会える時間は夕方くらいだった。
だから、ほとんど毎日、この時間に待ち合わせて補欠と会っていた。
いつもなら、この一分が一時間に感じてしまうほど、長く待ち遠しくてたまらないのに。
早く会いたくて、イライラするほどなのに。
今日はそんな気分になれなかった。
さすがに、きつかった。
かなり強烈な衝撃だった。
いずれは手術が必要になるだろうとは思っていたし、覚悟はしていたけど。
まさか、こんな時期にそれが訪れるとは予測できなかった。
頭上の枝葉の隙間から、八月の西日が燦然と降り注ぐ。
もうじき夕方だってのに、肌を焦がすような陽射しを受け止めながら、あたしはベンチにもたれかかった。
「手術……かあ」
と、なると、入院が必要になるわけで。
その休んでいる期間の理由、言い訳をどうしようか。
アメリカに短期語学留学にでも行くか。
「……ありえんだろう」
考えても考えても、浮かんでくるのは「イカニモ」な、明らかに突っ込みどころ満載なものばかりだった。
さすがにもう、そろそろ限界なのかと思う。
もう、隠し通せないところまで来てしまったのだと思った。
いつまでも肩肘張っていられないのかもしれない。