夏の空を仰ぐ花
白状しなければいけないのかもしれない。
おそらく、限界なのだと思う。
このまま、結衣や明里に、誰よりも補欠に隠し通すのは難しいのではないだろうか。
もう、潮時なのか。
「……何て言えばいいんじゃ」
ぽつり、と呟いて、木漏れ日に目を細めた時だった。
キイー、と甲高いブレーキ音と共に、公園にシルバーの自転車が滑り込んで来た。
「翠!」
真っ白なワイシャツ。
対照的に、真っ黒なスポーツバッグ。
こんがり日に焼けた笑顔の、大好きなあたしの補欠だった。
「ほけーつ!」
あたしはデニムのショートパンツのポケットに携帯電話をぐりぐり押し込んで、豪快にベンチを立った。
「ヨーロレイヒー!」
自転車を公園の片隅に寄せて向かって来る補欠が、がっくり肩を落としてプッと吹き出して笑った。
「ハイジか!」
「クララが立ったー!」
突進するあたしを、
「誰がクララだ! あほか」
補欠が全身で抱き止める。
でも、あたしたちはまるでお互いを突き飛ばすように離れた。
「暑っちー!」
「暑っつうー!」
じきに夕方と言えども、さすがは真夏。
「くっつくなよ!」
肩をど突くと、補欠がむっとして反撃して来た。
おそらく、限界なのだと思う。
このまま、結衣や明里に、誰よりも補欠に隠し通すのは難しいのではないだろうか。
もう、潮時なのか。
「……何て言えばいいんじゃ」
ぽつり、と呟いて、木漏れ日に目を細めた時だった。
キイー、と甲高いブレーキ音と共に、公園にシルバーの自転車が滑り込んで来た。
「翠!」
真っ白なワイシャツ。
対照的に、真っ黒なスポーツバッグ。
こんがり日に焼けた笑顔の、大好きなあたしの補欠だった。
「ほけーつ!」
あたしはデニムのショートパンツのポケットに携帯電話をぐりぐり押し込んで、豪快にベンチを立った。
「ヨーロレイヒー!」
自転車を公園の片隅に寄せて向かって来る補欠が、がっくり肩を落としてプッと吹き出して笑った。
「ハイジか!」
「クララが立ったー!」
突進するあたしを、
「誰がクララだ! あほか」
補欠が全身で抱き止める。
でも、あたしたちはまるでお互いを突き飛ばすように離れた。
「暑っちー!」
「暑っつうー!」
じきに夕方と言えども、さすがは真夏。
「くっつくなよ!」
肩をど突くと、補欠がむっとして反撃して来た。